Mちゃんというのは母方のいとこで、年は私のひとつ上。とても几帳面な性格だった。
どのくらい几帳面かというと、たとえばMちゃんの家に親戚が集まって、みんなでわいわい話しているときでも、Mちゃんは時間がくるとすっと自分の部屋に入り、英会話のラジオを聞くのだった(几帳面というより、マイペースだったのかもしれないが、やっぱり几帳面だったと思う。本棚には「週刊マーガレット」が順番にずらっと並んでいたのを覚えている)。私は親戚の集まり自体が苦手だったので、そういうことができるM ちゃんはすごいなぁ、と心から尊敬したものだった。
その数年後、母から聞いた話では、Mちゃんは地元の有名女子大に難なく合格し(そう言えば高校もバリバリの進学校に通っていた)、テレビ局に就職したとのことだった。母から「タイムキーパーをやってるんだって」と聞いて、Mちゃんらしいな、と思った。
その後、私の母が亡くなって、母方の親戚とのつきあいはめっきり減っていった。
それから30年あまりが経ち、ひょんなことから母方の伯母と会う機会が訪れた。伯母が都内に住んでいることが分かり、お宅にお邪魔することになったのだ。
そのときMちゃんの話になった。Mちゃんは三人姉妹の末っ子だったのだが、結婚はせず、ずっとお母さんといっしょに住んでいたとのことだった(上のふたりは結婚して家を出た)。そのお母さんも、夫の死をきっかけにうつになってしまい、それがもとで認知症になって、最近施設に入ったとのことだった。
結局、それまでお母さんの面倒を見たのはMちゃんだった。なんだか意外だった。私には、三人姉妹の中でMちゃんがいちばんクールに見えていたのだ。
会ってみたいような気もしたが、よく考えてみたら、Mちゃんとは話らしい話をしたこともなかったのを思い出した。
